Anthropophyta/人工植物門

2020

「造花が植物学上で正式に植物と認められた」という、自身が勝手につくったストーリーからはじまる、虚実をおりまぜたセミフィクションの植物図鑑。

部屋の片隅や街角で、水も光も求めず静かに佇む「造花」は天然植物のように科学的に研究や観察されることなく、ひそやかにそして確実にわれわれの日常の中で繁殖し続けている。それらを観察してみると、そのひとつひとつが実は個性的で表情豊かであることに気づかされる。素材、色、柄、構造などの違いに加え、印刷のずれやにじみ、プラスチックのバリなど、人や機械の痕跡が個性を与えている。

そんな未開の植物群に興味を持ち、独自に身の回りの造花の採集をはじめ、中国・広州の造花工場を視察。本書は、工場見学の様子と、採集した70枚の造花の葉っぱの観察記録が、学術的な体裁でまとめられている。

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

1987年千葉県生まれ。2010年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、IDÉEを経て渡蘭。2013年からアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーのジュエリー学科で学び、2016年に卒業。2021年にオランダから日本に拠点を移し、国内外で自主制作作品を発表するほか、コミッションワークも手がける。

作品はオランダのアムステルダム市立美術館、アムステルダム国立美術館、アーネム博物館にて永久所蔵。著書に「EVERYBODY NEEDS A ROCK」、「Anthropophyta / 人工植物門」(torch press)など。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科非常勤講師。グッドデザイン賞審査員(2023)。

https://www.saehonda.com/

2024/1/17 15:00