外食を50%割引、付加価値税は5%に減税 英財務相が経済刺激策を発表

画像提供, House of Commons/PA

画像説明, イギリスのリシ・スーナク財務相は、COVID-19によってイギリスは「独特の時期」に直面していると説明した

イギリスのリシ・スーナク財務相は8日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けているホテル・外食産業や観光業の刺激策を発表した。8月中の外食が最大50%の割引となるほか、7月15日からの6カ月間、これらの業界のサービス・商品にかかる付加価値税(VAT)を20%から5%に引き下げる。

「Eat out to help out(助けるために外食しよう)」計画では、月曜日から水曜日に外食すると、飲食代の最大50%の割引が受けられる。1人当たりの割引額は最大10ポンド。

スーナク財務相は、COVID-19によってイギリスは「独特の時期」に直面していると説明し、「創造的にならないといけない」と話した。

また、「国民が外出に慎重になっているのは理解している。しかし政府も、安全だと思わなければロックダウン(都市封鎖)を緩和しないだろう」と述べ、外食を奨励。この計画は「レストランやカフェ、パブに顧客を戻し」、「こうした場所で働く180万人」を守るものだと説明した。

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割引スキームの対象は食事とソフトドリンクで、アルコール飲料には適用されない。

8月中は何度でも、スキームへの参加を表明したイギリス全土でレストランやカフェ、パブで利用可能だ。

イギリスでは3月から始まったロックダウンで飲食店が休業を余儀なくされていたが、7月4日に3カ月以上ぶりに営業が再開された。営業に当たっては、新型ウイルスの感染拡大を防ぐための施策が義務付けられている

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しかし「Eat out to help out」計画が発表されると、新型ウイルスでなお死者が出ており、経済的に困窮している人が多い中、財務省が外食産業に補助金を出すことを疑問視する声も上がった。

あるツイッターユーザーは、「財務相から出てきたのはニューディール政策ではなくミールディール(飲食の割引券)だった」と揶揄(やゆ)した。

また、「スーナク財務相が拠出を決めた数千億ポンドの中で、私がもらえるのは、8月にナンドス(ファミリーレストラン・チェーン)が半額になることだけだというのは驚きだ」、「自宅できちんとした食事を食べるお金がない家族、緊急の慈善団体による食糧供給も受け取れていない家族が何百万といるのに」というツイートも見られた。

画像提供, Twitter/@JonJonesSnr

画像提供, Twitter/@candywilson

画像提供, Twitter/@ruthpatrick0

「Eat out to help out」に参加する企業は、13日に解説されるウェブサイトで登録する必要がある。

スーナク氏によると、「参加企業は8月の各週に割引分の金額を請求でき、5営業日以内に銀行口座に入金される」という。

VAT減税は来年1月まで

一方、VATを20%から5%に引き下げる政策については、「レストランやカフェ、パブでの食事やテイクアウト、ホテルやB&B、キャンプ地などでの宿泊、映画館やテーマパーク、動物園といった娯楽施設」に適用されると説明した。

減税措置は7月15日から2021年1月12日まで適用される。

ハンプシャー州フォーディングブリッジでパブを経営するキャロライン・ロイランスさんは、「Eat out to help out」に参加するつもりだと話した。

ロイランスさんのパブは3月23日のロックダウン開始から休業しており、8日に営業を再開したばかりだ。

画像提供, Caroline Roylance

画像説明, パブを経営するキャロライン・ロイランスさんは、「Eat out to help out」に参加するつもりだと話した

ロイランスさんは、「これからしばらくは売り上げがCOVID-19以前に戻る可能性は低いので」、割引スキームとVAT減税は「向こう数カ月を生き延びる助けにはなるだろう」と話した。

「きょうもびっくりするほど忙しく、まだいつもの7月の忙しさではない。始まったばかりだ」

「苦難が待ち構えている」

業界団体「UKホスピタリティー」はこの計画を「快く」歓迎すると表明。また、スーナク氏が示した若年層向けの就職斡旋(あっせん)スキームなどの失業対策にも理解を示した。

一方で同団体のケイト・ニコルズ会長は、「この計画によって窮地を脱したわけではない。まだ苦難が待ち構えている」と述べた。

「最大の苦難は家賃債務で、休業期間中から多くの企業が直面している問題だ。政府にはもっと前から支援して欲しかった」