WO2006041006A1

WO2006041006A1 - 靴底用中敷

Info

Publication number: WO2006041006A1
Application number: PCT/JP2005/018533
Authority: WO
Inventors: Nobuyoshi Morita; Junichi Takano
Original assignee: Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion; Takano, Kyomi
Priority date: 2004-10-08
Filing date: 2005-10-06
Publication date: 2006-04-20
Also published as: JP4057576B2; JP2006102342A; US20080028638A1

Abstract

【課題】　足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を十分に行わせることができる靴底用中敷を提供する。【解決手段】　靴底に装着可能であるとともに可撓性部材から成る上側中敷本体１ａ及び下側中敷本体１ｂと、これら中敷本体内に形成され、水を流動可能に封入し得る収容空間とを有した靴底用中敷において、収容空間を靴底のつま先領域Ａ、踵領域Ｃ及びそれらの間に位置する中間領域Ｂに区分けする堰部２、３と、該堰部２、３で区分けされた隣り合う領域間で、水が所定の流速にて流動するオリフィス部Ｒ１、Ｒ２とを備えたものである。

Description

明細書

靴底用中敷

技術分野

[0001] 本発明は、靴底に装着し得る靴底用中敷に関するものである。

背景技術

[0002] 靴底に装着して足裏へ付与される衝撃を緩和することを目的とした靴底用中敷 (ィンソール）として、従来、例えば特許文献 1にて開示されたものが挙げられる。かかる文献で開示された靴底用中敷は、可撓性を有する被覆材の内部に液体を流動可能に封入したものから成り、衝撃の緩和にカ卩え、液体の流動によるマッサージ効果をも奏するよう構成されていた。

特許文献 1：特開 2000— 197504号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] しカゝしながら、上記従来の靴底用中敷にお!ヽては、被覆材にて形成された液体の収容空間が当該中敷の略全域に亘つて単に 1つ形成されているため、歩行時における液体の移動を理想的に設定することが困難となっており、足裏に対する衝撃の緩和効果及びマッサージ効果が十分でな、と、う問題があった。

[0004] 本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を十分に行わせることができる靴底用中敷を提供することにある。課題を解決するための手段

[0005] 請求項 1記載の発明は、靴底に装着可能であるとともに可撓性部材力成る中敷本体と、該中敷本体内に形成され、液体を流動可能に封入し得る収容空間とを有した靴底用中敷において、前記収容空間を靴底のつま先領域、踵領域及びそれらの間に位置する中間領域に区分けする堰部と、該堰部で区分けされた隣り合う領域間で、前記液体が所定の流速にて流動するオリフィス部とを備えたことを特徴とする。

[0006] 請求項 2記載の発明は、請求項 1記載の靴底用中敷において、前記堰部は、前記踵領域力つま先領域に向力つて凸形状とされたことを特徴とする。 [0007] 請求項 3記載の発明は、請求項 1又は請求項 2記載の靴底用中敷において、前記つま先領域を更に前後に区分けする第 2堰部を設け、該第 2堰部にもオリフィス部を設けたことを特徴とする。

[0008] 請求項 4記載の発明は、請求項 1〜請求項 3の何れか 1つに記載の靴底用中敷において、前記中敷本体が装着される靴の土踏まず部に相当する位置まで前記中間領域から延設させ、その延設部と中間領域とを区分けする第 3堰部を形成するとともに、該第 3堰部にもオリフィス部を設けたことを特徴とする。

[0009] 請求項 5記載の発明は、請求項 1〜請求項 4の何れか 1つに記載の靴底用中敷において、前記液体が水であることを特徴とする。

発明の効果

[0010] 請求項 1の発明によれば、堰部にて収容空間を靴底のつま先領域、踵領域及びそれらの間に位置する中間領域に区分けするとともに、該堰部で区分けされた隣り合う領域間で、液体が所定の流速にて流動するオリフィス部を備えたので、歩行タイミングに合致して必要な部位への理想的な液体の移動を実現させることができ、足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を十分に行わせることができる。

[0011] 請求項 2の発明によれば、堰部が踵領域力もつま先領域に向力つて凸形状とされたので、本靴底用中敷が装着された靴を履いた者が歩行する際、足裏接床時 (踵から着床する時点）と遊脚時 (つま先で床を蹴り上げる時点）とで液体の移動時の流速を異ならせ、足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を一層高めることができる

[0012] 請求項 3の発明によれば、つま先領域を更に前後に区分けする第 2堰部を設け、該第 2堰部にもオリフィス部を設けたので、つま先側の液体の流動を更に細力べ設定することができるとともに、特に、遊脚時におけるつま先領域内の液体の流れを所望に帘 U御することができる。

[0013] 請求項 4の発明によれば、靴の土踏まず部に相当する位置に形成された延設部と中間領域とを区分けする第 3堰部を形成するとともに、該第 3堰部にもオリフィス部を設けたので、足裏の土踏まずに対するマッサージ効果をも効果的に付与することができる。 [0014] 請求項 5の発明によれば、収容空間に封入される液体が水であるので、より安価に靴底用中敷を製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

[0015] 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。

本実施形態に係る靴底用中敷は、靴底に装着され得る中敷 (インソール)から成るものであり、図 1及び図 2に示すように、上側中敷本体 la及び下側中敷本体 lbを接着して内部に液体としての水 Wを封入して成る中敷本体と、堰部 2、 3と、第 2堰部 4と、第 3堰部 5とから主に構成されている。

[0016] 上側中敷本体 la及び下側中敷本体 lbは、靴底に装着可能なように当該靴底の形状に略倣った形状とされた 2枚の可撓性部材 (例えば弾性に富んだ榭脂等)カゝら成るものであり、それぞれを重ね合わせつつ互いの縁部を例えば熱溶着にて接着させることにより、内部に水 Wを液密に収容する収容空間が形成されている。尚、上側中敷本体 la及び下側中敷本体 lbとしての材質は、所定の耐久性及び可撓性を有して!/ヽれば、種々プラスチックや合成樹脂等を用いることができる。

[0017] 堰部 2、 3は、 2枚の中敷本体の所定部位を例えば熱溶着にて接着させ、当該中敷本体が成す収容空間をつま先領域 A、踵領域 C及びそれらの間に位置する中間領域 Bに区分けするものである。即ち、中敷本体が靴底に装着された際のつま先部に相当する領域がつま先領域 A、踵部に相当する領域が踵領域 C、それらの中間の領域が中間領域 Bとなるよう、堰部 2及び 3が形成されて、るのである。

[0018] これら堰部 2及び 3は、上側中敷本体 la及び下側中敷本体 2の接着された縁部から所定間隔離間して形成されており、力かる離間部がオリフィス部 R1及び R2を構成している。これらオリフィス部 R1及び R2は、堰部 2及び 3で区分けされた隣り合う領域間で内在する水が所定の流速にて流動するよう離間寸法が設定されており、これにより踵領域 Cに荷重が付与された際、オリフィス R2、 R1を介して当該踵領域 Cの水が中間領域 B及びつま先領域 Aへ順次流動するとともに、つま先領域 Aに荷重が付与された際、オリフィス R2、 R1を介して当該つま先領域 Aの水が中間領域 B及び踵領域 Cへ順次流動し得るようになって、る。

[0019] 即ち、中敷本体の長手方向に亘つて「つま先領域 A」「中間領域 B」「踵領域 C」に区分けしてそれぞれの小室を形成するとともに、隣り合う領域間で内在する水の流動を許容するオリフィス部 R1及び R2を形成したことにより、力かる中敷が装着された靴を履いた者が歩行する際、歩行タイミングに応じて水が踵領域 Cから中間領域 Bへ、且つ、つま先領域 Aから中間領域 Bへ流動するので、足裏のマッサージ効果を高めることがでさる。

[0020] 更に、堰部 2及び 3は、踵領域 Cからつま先領域 Aに向力つて（図 1中上方に向かつて）凸とされた弧状に形成されている。カゝかる形状により、上記中敷が装着された靴を履!ヽた者が歩行する際の足裏接床時の水の流速 (踵領域 C、中間領域 B及びつま先領域 Aの順に水が流動）が、遊脚時の水の流速 (つま先領域 A、中間領域 B及び踵領域 Cの順に水が流動)よりも遅くなるよう設定できる。

[0021] 即ち、足裏接床時において踵から踵領域 Cに圧力付与されるとき、堰部 3の形状によりオリフィス部 R2から中間領域 Bへの水の流れが抑えられて、当該踵領域 C内の水が所定時間保持されるので、その水の保持による弾性により衝撃が吸収されるのである。同様に、歩行により踵領域 Cから中間領域 Cに体重移動がなされると、堰部 2の形状によりオリフィス部 R1からつま先領域 Aへの水の流れが抑えられて、当該中間領域 B及び後述する延設部 Ba内の水が所定時間保持されるので、体重移動に基づく衝撃が吸収される。尚、延設部 Baにも水が所定時間保持されるので、足裏の土踏まずに対するマッサージ効果も得ることができる。従って、本実施形態によれば、従来のものに比べ、足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を十分に行わせることがでさる。

[0022] また、遊脚時においてつま先力もつま先領域 Aに圧力付与されるときは、堰部 2及び 3の形状によりオリフィス部 R1から中間領域 Bへの水の流れ、及びオリフィス部 R2 から踵領域 Cへの水の流れが促進され、当該つま先領域 A内の水が素早く流出するので、床面に対する蹴り上げを良好として履き心地の向上を図ることができるとともに、次回の足裏接床時までに水を素早く初期状態に戻すことができる。尚、本実施形態においては、堰部 2及び 3の形状が、図 1中上方に向力つて凸とされた弧状に形成されているが、踵領域 C力もつま先領域 Aに向力つて凸形状であれば、他の形状であってもよい。 [0023] 一方、つま先領域 Aには、上側中敷本体 laと下側中敷本体 lbとを熱溶着させた第 2堰部 4が形成されており、当該つま先領域 Aを前後（中敷本体の長手方向）に区分けして第 1つま先領域 Aaと第 2つま先領域 Abを形成している。力かる第 2堰部 4は、 2枚の中敷を熱溶着させた縁部力それぞれ延びて水の流動を規制するとともに、その略中間位置に第 1つま先領域 Aaと第 2つま先領域 Abとを連通し、水の流動を許容するオリフィス部 R3が形成されてヽる。

[0024] これにより、つま先領域 Aを更に前後に区分けする第 2堰部 4を設け、該第 2堰部 4 にもオリフィス部 R3を設けたので、つま先側の水の流動を更に細かく設定することができるとともに、特に、遊脚時におけるつま先領域 A内の水の流れを所望に制御することができる。即ち、遊脚時につま先力も第 1つま先領域 Aaに圧力付与されると、当該第 1つま先領域 Aa内の水が中間領域 Bへ流れるとともに、オリフィス部 R3を介して第 2つま先領域 Abへも流れるので、水の流れを所望に制御して遊脚時の水による弹性を良好に設定することができるのである。

[0025] 更に、中間領域 Bからは、中敷本体が装着される靴の土踏まず部に相当する位置まで延びて延設部 Baが形成されている。尚、図 1は右足の靴底に装着される中敷本体を示しているため、延設部 Baは同図左方向へ延設されている力右足の靴底に装着されるものにおいては当該延設部 Baは右方向へ延設されることとなる。かかる延設部 Baは、他の領域と同様、内在する水の収容及び流動を可能とした収容空間の一部を成している。

[0026] そして、延設部 Baと中間領域 Bとの間には、堰部 2、 3及び第 2堰部 4と同様、 2枚の中敷本体を熱溶着して得られた第 3堰部 5が形成されるとともに、当該延設部 Baと中間領域 Bとの間で水の流れを許容するオリフィス部 R4が形成されて、る。これ〖こより、上記中敷が装着された靴を履いた者が歩行する際、足裏の土踏まずに対するマッサージ効果をも効果的に付与することができる。尚、上記中敷本体を靴底に装着した際、延設部 Baは土踏まずの形状に沿って立ち上がった状態とされるとともに、装着されるべき靴底の形状に合わせて延設部 Baが形成 (位置及び形状が任意に変更可能 )されることとなる。

[0027] また、第 3堰部 5は、同図に示すように、延設部 Baから中間領域 Bに向力つて凸の弧状とされており、オリフィス部 R4を介する当該延設部 Ba内から中間領域 Bへの水の流れがその逆の流れより遅く設定されている。これにより、足裏の土踏ますに対するマッサージ効果をより向上させることができる。

[0028] 次に、上記靴底用中敷の効果を実証するための実験結果について説明する。

本実験においては、図 3に示すように、床面に硬質樹脂から成るシート材 aを載置しておき、その上に比較対象とされる中敷 b (素足の実験の場合はない）、靴底に装着される薄革部材 c及び圧力分布を測定するためのセンサシート dを順に積層しておく。実施例は、図 1に示した如き靴底用中敷力も成るとともに、比較例 1は図 4に示す如き靴底用中敷である。

[0029] 比較例 1の靴底用中敷は、同図に示すように、内部に水を封入した収容空間 Sと、該収容空間 S内において幅方向に複数形成された凸条部 (収容空間 Sを区分けしていない）とを有しており、当該収容空間 Sは連通状態とされている。また、比較例 2は、靴底用中敷を設置せず、単に薄革部材 c上にセンサシート dが積層されて、るのみである。そして、センサシート d上に足を載せて略均等に体重をかけ、実施例、比較例 1及び比較例 2における圧力分布を測定した。実験結果については、実施例のものが図 5、比較例 1のものが図 6、比較例 2のものが図 7の如きとなった。

[0030] 図 5乃至図 7からも明らかなように、実施例のものは、比較例 1及び 2のものに比べ、足裏に付与される圧力が分散されており、特に土踏まずに対しても圧力分散が認められた。従って、実施例のものは比較例 1及び 2に比べて、足裏に対する衝撃の緩和及びマッサージ効果を十分に行わせることができる。

[0031] 以上、本実施形態に係る靴底用中敷について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなぐ例えば中敷本体をつま先領域、中間領域及び踵領域に区分けする堰部と、該堰部で区分けされた隣り合う領域間で水が所定の流速にて流動するオリフィス部とを備えていれば、堰部の配設位置や形状、オリフィス部の形成位置等を種変更することがでさる。

[0032] また、中敷本体内に収容される水に代えて他の液体 (例えば所定の粘性を持ったオイル状のもの等）を用いることができる。但し、水を中敷本体に封入する構成とすれば、靴底用中敷の製造コストを低減することができる。更に、つま先領域 Aから先端側に中敷本体を延設させ、装着する靴底の大きさに応じてハサミ等で切断して用いるよう構成してちょい。

[0033] また更に、つま先領域 Aを前後に区分けしたものにおいて、先端側（実施形態における第 2つま先領域 Abに相当する部位)を熱溶着等にて封止し、水等の液体の流動力されないよう構成してもよい。尚、延設部 Baを形成せず、つま先領域 A、中間領域 B及び踵領域 Cのみに区分けするよう構成してもよぐ当該延設部 Baを形成した場合であっても、本実施形態の如く第 3堰部 5を設けな、構成としてもよ!ヽ。

産業上の利用可能性

[0034] 中敷本体をつま先領域、中間領域及び踵領域に区分けする堰部と、該堰部で区分けされた隣り合う領域間で水が所定の流速にて流動するオリフィス部とを備えた靴底用中敷であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたものにも適用することができる。

図面の簡単な説明

[0035] [図 1]本発明の実施形態に係る靴底用中敷を示す平面図

[図 2]図 1における II II線断面図

[図 3]本発明の実施形態の靴底用中敷の効果を実証するための実験態様を示す模式図

[図 4]同実験における比較例 1に係る靴底用中敷を示す模式図

[図 5]同実験における実施例の圧力分布を示すグラフ

[図 6]同実験における比較例 1の圧力分布を示すグラフ

[図 7]同実験における比較例 2の圧力分布を示すグラフ

符号の説明

[0036] la 上側中敷本体

lb 下側中敷本体

2、 3 堰部

4 第 2堰部

5 第 3堰部

A つま先領域 B 中間領域 C 踵領域

R1〜R4 オリフィス部 W 水（液体）

Claims

請求の範囲

[1] 靴底に装着可能であるとともに可撓性部材力成る中敷本体と、

該中敷本体内に形成され、液体を流動可能に封入し得る収容空間と、を有した靴底用中敷にお!ヽて、

前記収容空間を靴底のつま先領域、踵領域及びそれらの間に位置する中間領域に区分けする堰部と、

該堰部で区分けされた隣り合う領域間で、前記液体が所定の流速にて流動するォリフィス部と、

を備えたことを特徴とする靴底用中敷。

[2] 前記堰部は、前記踵領域からつま先領域に向かって凸形状とされたことを特徴とする請求項 1記載の靴底用中敷。

[3] 前記つま先領域を更に前後に区分けする第 2堰部を設け、該第 2堰部にもオリフィス部を設けたことを特徴とする請求項 1又は請求項 2記載の靴底用中敷。

[4] 前記中敷本体が装着される靴の土踏まず部に相当する位置まで前記中間領域から延設させ、その延設部と中間領域とを区分けする第 3堰部を形成するとともに、該第 3堰部にもオリフィス部を設けたことを特徴とする請求項 1〜請求項 3の何れか 1つに記載の靴底用中敷。

[5] 前記液体が水であることを特徴とする請求項 1〜請求項 4の何れか 1つに記載の靴底用中敷。